見て見ぬふりができなかった命を保護することから始まった、10年以上の保護猫活動。
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今回紹介させていただくのは、関西で10年以上、個人で保護猫活動を続けている猫人さんです。
これまでに保護し、譲渡につなげてきた猫は400弱。
現在も、保護できる子は保護し、保護が難しい猫にはTNRを行いながら、毎日のエサやりを続けています。
猫人さんは、今回の紹介について「私個人の活動や考えが記事にして紹介する程のものかどうかは分かりません」と話されていました。
それでも、それが少しでも良い影響になるのであればと、結び-LINKでの紹介にご協力くださいました。
これから動物保護ボランティアを考えている人や、今まさに活動している人にとっても、猫人さんの経験には大切な視点があると思います。
この記事では、猫人さんが10年以上続けてきた保護猫活動の現実と、命に関わる中で大切にしてきた考え方などを紹介させていただきます。
保護活動の始まりは、
産まれて10日にも満たない7匹の子猫
今回、猫人さんに保護猫活動を始めたきっかけを伺うと、最初に話してくださったのは、近所の公園前にあるプレハブ小屋で見つけた7匹の子猫のことでした。
その子たちは、まだ生まれて10日にも満たない子猫。
猫人さんは、その姿を見た時に一瞬迷いはあったそうです。
それでも、見てしまった以上、見て見ぬふりはできなかったと話してくれました。
猫人さんは、その7匹を保護することに。
その後、公園内でまた捨て猫を見つけたそうです。
その時に猫人さんの中にあったのは、
「あの7匹は助けて、この子達を助けない理由はないなぁ…」
という思いでした。
そこからまた保護し、育て、里親さんを探して、譲渡する。
そうしたことを繰り返しているうちに、自然と保護活動を本格的にするようになっていったといいます。
気づけば、猫人さんの保護猫活動は10年以上に。
これまでに猫人さんが保護し、譲渡につなげてきた猫は400弱にもなるそうです。
猫人さんの活動は、最初から大きな団体を作ろうとして始まったものではありませんでした。
目の前にいた小さな命を見てしまった。
そして、その命を見なかったことにはできなかった。
その積み重ねが、猫人さんの活動の始まりでした。
捨て猫が集まる公園で、
場所を限定して続けてきた保護猫活動
猫人さんは、場所を限定して保護活動をしているそうです。
今回お話を伺う中で出てきたのは、近隣にある公園のことでした。
その公園は捨て猫スポットのようになっていて、捨てられて野良になった猫が多くいるそうです。



猫人さんは、その公園で捨てられた猫や、ケガなどで放っておけば命に関わる子を保護し、里親さんを探して譲渡につなげてきました。
一方で、すべての猫を保護できるわけではありません。
保護できない猫に関してはTNRを行い、毎日のエサやりを続けているそうです。
活動の場所を広げるのではなく、関わっている場所の猫たちに対して、保護できる子は保護し、保護できない子にはTNRと管理を続ける。
猫人さんは、その形で活動を続けています。
無責任な関わり方はしない。
猫人さんの保護猫活動とは
猫人さんが活動の中で大切にしているのは、無責任な関わり方をしないことだと話してくれました。
毎日のエサやりで猫人さんが意識していること

保護できない猫に関してはTNRを行い、毎日のエサやりを続けている猫人さん。
外で暮らす猫のエサやりの中で意識しているのは。
ゴミを出さないこと。
可能な限りフンの始末をすること。
場所と時間を決めて行うこと。
猫人さんは、できる限り地域や近隣住民に配慮した活動をするよう努めていると話してくださいました。
この地域や近隣を意識した猫人さんの行動は、10年以上も活動を続けるために徹底してやってきた関わり方のひとつなんだと感じました。
不幸だった猫のこれからを考えた、猫人さんの譲渡
猫人さんは、これまで SNS上で里親さんをを募った事はないそうです。
信頼できる人のつながりを通して探してきた里親さん
猫人さんは、信頼できる友人や知人数名に声かけの協力をお願いし、そのつながりの中で里親希望者さんと出会ってきたそうです。
SNSで里親募集をする活動者さんもいますが、猫人さんはご自身の活動の形として、友人や知人からの紹介を中心に里親さんを探してきたそうです。
里親気描写さんと事前に会って話をする
友人や知人からの紹介で連絡をもらった場合でも、猫人さんはそのまま譲渡を決めるわけではありません。
事前に一度会って話をする。
その中で、信用できる方かどうかを判断してきたそうです。
猫人さんは、保護団体とは違って個人で活動しているため、譲渡会などで猫を引き取るためのハードルを上げる形にはしたくないと話してくださいました。
ただ、命を託す以上、相手を確認せずに譲渡を決めることはしないと決め、責任ある譲渡をしていると話してくれました。
里親さんに必要経費を請求しない理由
猫人さんは、これまで譲渡の際に、必要経費を請求したことは一度もないそうです
今後については検討したいとしながらも、これまでは自費で保護やお世話を続け、里親さんへ命を託してきました。
保護してから里親さんへ託すまでにも、フード代や医療費などのお金はかかります。
時間も体力も使いながら、猫たちの体調を見て、必要な医療につなげ、お世話を続けてきたはずです。
それでも、なぜ必要経費を請求してこなかったのか。
その理由を伺うと、
譲渡してから猫が寿命を迎えるまでずっとお金はかかり続けるんだから、信用して託す以上は…
そのような想いがあると猫人さんは話してくださいました。
保護してから譲渡までにも費用はかかります。
けれど、猫にかかるお金は、譲渡した時点で終わるものではない。
その猫が寿命を迎えるまで、日々の暮らしにかかる費用は続いていく。
だからこそ猫人さんは、信用して里親さんに託す以上、その先の暮らしも含めて考えながら里親さんに譲渡を行ってきたそうです。
忘れなれないエピソード
へその緒がついた3匹の子猫たち
猫人さんが、忘れられない出来事として話してくださったのが、へその緒がついた3匹の子猫のことでした。
管理事務所から届いた、へその緒がついた子猫の連絡
2年ほど前の午前中、公園の管理事務所から猫人さんに連絡があったそうです。

事務所前にへその緒のついた子猫が3匹捨てられたんですが、どうにか保護してもらえないでしょうか?

体の大きさをどれくらいでしょうか?

10cmもないかもしれません…。

今からすぐ行くのでタオルか何かあったらくるんでおいてください!
実際に見た子猫たちは、聞いていた通り体長10cmあるかどうか…。
産まれた直後に捨てられたことが分かる状態だったそうです。
初乳すら飲めないまま捨てられていた子猫たち
3匹は、母猫の初乳すら飲めていない状態だったそうです。

猫人さんは、哺乳動物にとって初乳は、栄養だけでなく、生きていくために必要な免疫や抗体を得る大切なものだと教えてくださいました。
けれど、その3匹はその機会すらないまま捨てられていた。
保護した時点で、すでに衰弱が始まっていたそうです。
哺乳瓶では、自分で吸う力が全然ない…。
かといって、シリンジで給餌するには身体が小さすぎて、誤嚥の危険も高い状態…。
カテーテルで子猫の命をつなぐしかなかった時間
猫人さんはすぐに近隣の獣医さんに連れて行き、その子たちのサイズに合ったカテーテルを購入したそうです。
そして、胃に直接ミルクを流し込む給餌を始めました。

産まれて間もない子猫は、自分で体温を保つこともできない。
温対策をしながら、最低でも2時間おきにミルクを与える必要がある。
ただ、ミルクを与えるだけでは終わらない。
そのたびに準備があり、片付けがあり、急な容体の変化がないかも見ていなければならない。
子猫にとっては2時間おきのミルクでも、世話をする側にとっては、ほぼ1時間おきに動き続けるような状態だったそうです。
猫人さんは、眠る暇もない状態で世話を続けたそうです。


哺乳瓶で飲めるまで回復した子猫たち
不眠不休の世話を続け、1週間が過ぎた頃。
見た目の大きさに大きな変化はなかったものの、3匹はカテーテルではなく、哺乳瓶からミルクを飲めるまでに回復してきたそうです。

猫人さんはその時、「そもそも未熟児なんだから成長が遅いのは仕方ない。とにかく元気が出てきただけで喜ばしい」と感じていたと話してくださいました。
その頃、猫人さんは里親さん探しも始めたそうです。
すると、知人からの紹介ですぐに里親希望者さんが見つかったそうです。
里親希望者さんに隠さず伝えたこと
猫人さんは普段から、譲渡の前には一度猫を見に来てもらい、譲渡にあたっての注意事項などを含めて話をする形を取っています。
今回の3匹についても、里親希望者さんに子猫たちを見に来てもらいました。
ただ、この3匹は普段の譲渡とは状況が違います。
捨てられてから保護に至るまでのこと。
未熟児のような状態で、譲渡までにはまだ時間がかかること。
成長しても健康面に問題がないとは言い切れないこと。
譲渡後にも定期的な通院が必要になるかもしれないこと。
猫人さんは、保護猫を迎える側にとってデメリットになりかねないことも隠さず全て伝えたそうです。
里親希望者さんは、それらの話をすべて真剣に聞いてくれて、受け入れを希望してくださったそうです。
回復が見えた矢先に起きた異変
良い受け入れ先も決まり、あとはこの子たちを元気に育て上げるだけ。
そう思った矢先、3匹が互いの爪で眼球を傷つけてしまったそうです。


子猫にはよくあることでも、この3匹は未熟児のような状態。
すぐに獣医さんに診てもらい、目薬と軟膏を出してもらいましたが効き目が悪く、3匹とも見る間に元気がなくなっていったそうです。
哺乳瓶から飲めるようになっていたミルクも、また飲めなくなっていく。
猫人さんは、再びカテーテルでの給餌に戻したそうです。
2時間おきのミルクに加えて、1日3回の点眼と軟膏。
身体が小さすぎて既製品がないため、エリザベスカラーも手作りしたそうです。

助けられなかった1匹と、残った2匹
3匹のうち2匹は、少しずつ回復の兆しを見せてくれたそうです。

しかし、1匹の子猫だけは衰弱を止めてあげることができなかった。
獣医さんからも「残念だけど、この子はここまでが限界かもしれない」と告げられたそうです。
それでも猫人さんは、諦めずに世話を続けました。
けれど、その子はほどなくして逝ってしまった…。
猫人さんは、譲渡を待ってくれている里親さんに泣く泣く事情を伝え、残った2匹の経過と、譲渡までの期間が少し長くなるかもしれないことも伝え…。
それから、逝ってしまった子の後を追わせないように、また不眠不休の世話を必死で続けたそうです。
2ヶ月後、ようやく迎えた譲渡の日
猫人さん自身も、もう倒れる寸前。
保護してから2ヶ月ちょっと経って、ようやく迎えた譲渡の日。
2匹は生後2ヶ月になっていましたが、体重はようやく生後1ヶ月の平均ほどだったそう。
2ヶ月間の世話の途中で高熱が続き、手が倍以上に膨れ上がり、皮膚が破れて膿が出て、病院に行ったこともあったそうです。
それでも必死に世話を続け、残った2匹は里親さんのもとへ行くことができました。
譲渡してからしばらくは、里親さんから体調の報告が届いたそうです。
世話が間違っていないか確認してほしいという希望もあり、猫人さんは新味にやり取りを続けたそうです。
10日ほど過ぎた頃、猫人さんは「とても良くしてくださってるので、毎日の報告はもう結構ですよ。また何かあればいつでも連絡してくださいね」と里親さんに伝えます。
それから1ヶ月ほど経って、里親さんから猫人さんに動画が届いたそうです。
まだ小さいながらも、元気に走り回る2匹の元気な姿。
猫人さんはこの時の心境を、長い世話が終わって里親さんに引き渡した瞬間の、安堵と喪失が混ざったような気持ち。
そして、送られてきた動画を見た時の「あぁ、良かった」という素直な気持ち。
その2つの気持ちは、この先もきっと忘れないと話してくださいました。

個人で保護猫活動を続ける中で大変だったこと
猫人さんに、活動を続ける中で大変だったことを伺うと、「周囲の無関心と無理解。そこから来る安易な批判」と答えてくださいました。
猫人さんはこれまで、人間の身勝手で捨てられてしまった猫や、放っておけば命に関わる猫たちと向き合ってきました。
保護できる子はできる限り保護し、保護できない猫にはTNRを行い、地域や近隣住民に配慮しながら毎日のエサやりとお世話を続けてきました。
それでも、そうした現実や実際の現場を知らないまま、外側から安易な批判や心ない言葉を向けられることが普通にあるそうです。
猫人さんは、「これは保護活動に限った話ではありませんが、何もしない人に限って無責任な口出しだけはしてきます」と話してくださいました。
猫人さんが大変だったこととして挙げてくださったのは、猫の世話そのものだけではありませんでした。
命と向き合う現場を知らない人からの無関心や無理解。
そして、そこから向けられる安易な批判。
それもまた、個人で保護猫活動を続ける中で、猫人さんが向き合ってきた現実でした。
保護した猫たちに新しい縁をつなげられた喜び
猫人さんに、活動していて良かったことを伺うと、「捨てられた子達に新たに良い縁を繋いであげられた事」と話してくださいました。

捨てられた猫たちは、自分でその場所を選んだわけではない。
人間の都合で外に置かれ、そこから先の命を誰かが見つけ、保護し、世話をしなければならない現実がある。
猫人さんは、そうした猫たちがこの先は安心して暮らせるように、保護し、育て、里親さんへつなげてきました。
そこには、時間も体力もお金もかかります。
医療が必要な子もいます。
すぐに譲渡につながらない子もいます。
それでも、里親さんから
「こんなに甘えてくれる猫は初めてです」
「家族みんなデレデレです」
といった言葉をもらえると、猫人さんは「素直に良かったと心から思える」と話してくださいました。
これから動物保護ボランティアを考えている人へ
猫人さんに、これから同じような活動をしたい人へ伝えたいことを伺うと、「活動を日常にできない人は続かないと思います」と話してくださいました。
この言葉だけを見ると、少し厳しく感じる方もいるかもしれません。
ですが、10年以上、個人で命と向き合い続けてきた猫人さんだからこその実感として、受け止める必要がある言葉だと結び-LINKは感じました。
始める前に、自分がどこまで関われるかを考える

動物保護ボランティアといっても、関わり方はひとつではない。
団体の活動に参加する形もあれば、できる範囲で手伝う、寄付や物資で支える、情報発信で協力する形など、関わる形はさまざまです。
一方で、猫人さんのように個人で1から10まで担いながら活動する場合、命と向き合う時間は一時的なものではなく、日々の生活の中で常に続いていきます。
猫人さんは「プライベートの時間も大事にしたいという方には向かないと思います」とも話してくださいました。
これは、動物保護に関わりたいという善意の気持ちを否定する言葉ではないと、結び-LINKはとらえています。
命に関わる活動だからこそ、始める前に、自分がどこまで関われるのかを考えることが大切。
猫人さんのように、最初から最後まで個人で継続して命と向き合う場合には、時間も、体力も、お金も必要になり続けます。
そこは、きれいごとではなく動物保護活動の現実です。
だからこそ、これから動物保護ボランティアを考えている方には、猫人さんの言葉を通して、自分にできる関わり方と、命と向き合い続ける覚悟を、一度考えてみてほしい。
猫人さんのお話を伺いながら、結び-LINKはそう強く感じました。
人間の身勝手で生まれた問題があることを先ずは知ってほしい
猫人さんに、世の中の方に知ってほしいことを伺うと、「地域で暮らす猫たちの問題を、保護団体や個人活動者だけに押し付けている現実を知ってほしい」と話してくださいました。
外で暮らす猫たちは、自分でその環境を選んだわけではありません。
ほとんどが、人間の身勝手で過酷な外の世界で生きていくことになった。
その現実の先で、猫人さんたち善意の活動者が日々、命と向き合っています。


保護団体や個人活動者だけに責任を押し付けてはいけない
猫が好きな人もいれば、苦手な人もいます。
エサやりに理解がある人もいれば、不快に思う人もいます。
感じ方は人それぞれです。
ただ、外で暮らす猫たちをめぐる問題は、保護団体や個人活動者だけで抱えられるものではありません。
「野良猫問題は地域全体の問題であり、保護団体や個人活動者に責任も批判も一切を押し付けること自体が間違っていると思う」
猫人さんが話してくださったのは、そうした思いでした。
まずは現実を知り、関心を持つ人が増えてほしい
無責任な餌やりと、TNRを行ったうえで地域に配慮しながら続けるお世話は違います。
それでも、活動の一部だけを見て批判されたり、心ない言葉を向けられたりすることも多々あるそうです。
だからこそ
なぜ過酷な環境で暮らす猫がいるのか。
なぜTNRが必要なのか。
なぜ保護活動が必要なのか。
なぜ殺処分という現実があるのか。
そもそもなぜ?この問題がうまれているのか。
先ずは現実を知り興味関心を持つ人が増えること。
それが、人間の身勝手で生まれた問題を、民間団体や善意の個人活動者に背負わせ続けている社会のあり方を考える入口になる。
それと同時に、その現実に向き合い、TNRや日々のお世話、保護、譲渡まで地道に続けている人たちの活動を、正しく知るきっかけにもなる。
猫人さんのお話を伺いながら、結び-LINKは強くそう感じました。
関西で保護猫活動を10年以上続けている「猫人」さん

猫人さんは、関西で10年以上、個人で保護猫活動を続けている活動者さんです。
これまでに保護し、譲渡につなげてきた猫は400弱。
現在も、保護できる猫は保護し、保護しきれない猫にはTNRを行いながら、毎日のエサやりと見守りを続けています。
猫人さんは、ご自身の活動を大きく見せるためではなく、保護猫活動の現実や、これから動物保護に関わる方に少しでも伝わるものがあればという思いで、今回の紹介記事にご協力くださいました。
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